【指導内容】共通テスト対策に意外と便利な本
テストの問題や演習問題を作成する際、大学入試の過去問や問題集などを参考にするのはもちろんですが、本や、参考書等もたくさん読むことになります。
特に昨年度や今年度は、新たに始まる大学入学共通テストを意識した問題を作成することに心がけていました。
出題形式は、8割以上は4〜8択の記号問題で、正誤の判定をさせるパターンがほとんどでした。
共通テストのプレテスト(平成30年度)では、場面設定の工夫例として以下が挙げられています。
・歴史的観点から資料を活⽤して探究し,その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して,現代につながる諸課題について⾃分の意⾒を形成する場⾯
・歴史的観点から資料を活⽤して探究し,その成果を論述したり討論したりする活動を通して,新たな課題を⾒いだす場⾯
そのような学習場面を想定した問いを作るだけでも結構大変だったのですが、それに加えて、次のようなことも意識しなければならず、かなり勉強しなければなりませんでした。(自分の見識の浅さを痛感します…)
・細かい知識よりも、思考力や技能を重視する
・概念や背景、社会の特徴、意義など、抽象的な対象を問う問題を含める
・論理的に思考する力を問う
その際、苦労したのが、
・大問のテーマをよりよく設定すること
(ありきたりなテーマだと良質な問題が作成しにくい)
・図や資料、史料、グラフなどの図表といった「素材」を集めること
・「授業中の発表資料」や「調べ学習のレポート」、「会話文」を作成すること
などです。実際に共通テストに似せて作問してみると、「まわりくどくなっただけで結局知識を問うているだけ」みたいな問題ができあがってしまうことが多いです。良問を作成しようとなると、やはり様々な本や問題集を読まないといけません。とにかく、この2年間はテスト問題の作成にかなり時間をかけました。
その際、大問ごとのテーマ設定や、リード文などの論点を絞るために非常に役立つのが、論述対策系の問題集や参考書です。具体的な事件やできごとから、その原因や背景、意義などを理解しているかを問うには、論述問題とその解法や解説を利用するとよいことがわかりました。
今回は、それらの本の一つ、駿台受験シリーズの『日本史の論点 論述力を鍛えるトピック60』を紹介します。
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テーマが豊富で、1冊読むだけで、かなり網羅的に論述に必要なポイントを押さえることができます。一つひとつのテーマも、本質的なところがわかりやすく書かれているにもかかわらず、コンパクトにまとめられているので、非常に読みやすい本です。共通テスト対策においては、間違いなく論述対策で得られる知識や思考力が有効になるはずです。
今年度は問題作成の際にこの本をたくさん使わせてもらいました。アクティブ・ラーニング的な授業においても、歴史的思考力を鍛えるために有用な書だと思いますので、ぜひ読んでみてください。
今度は実際のテスト問題も紹介していきたいと思います。